業務用エアコンと家庭用エアコンの違いについて

お客様からのお問合せの中に『業務用エアコンと家庭用エアコン(ルームエアコン)は、何が違うの?』という質問を多くいただきます。また、『設置場所が狭いから家庭用で充分?』『家庭用だと効きが悪いから業務用に入れ替えた方がいい?』と疑問を持つ方も多くいらっしゃいます。
そんな疑問をお持ちの方に、今回は「業務用エアコンと家庭用エアコンの違い」についてお話します。細かくご説明するときりがないので、わかりやすく大まかにまとめます。(掘れば掘るほど奥深いテーマなんです!)
壁掛け形の室内機が家庭用エアコン??
まず初めに『エアコン』と聞いて思い浮かべるのは、普段皆様がご自宅で使用されているような壁掛け形のエアコンをイメージされる方が多いと思います。CMやテレビショッピングなどでも紹介されているほとんどものが『家庭用の壁掛け形』ですので、『業務用』と言われてもピンと来ない方が多いと思いますが、「壁掛け形=家庭用」ということではないのです!「壁掛け形」には『業務用』と『家庭用』それぞれ存在します。
(ちなみに業務用エアコンの形には「壁掛け形」の他に「天井カセット形」や「天吊り形」「ダクト形」「床置形」などもあります。家庭用エアコンにも「天井カセット形」や「床置形」などもあります。)
「そこまでは知っているよ」と思った方!では同じ壁掛け形なのに『業務用』『家庭用』では一体何が違うのでしょう?この内容を事細かく説明するには時間がいくらあっても足りませんので、今回のコラムではポイントを絞ってお話しします。
業務用エアコンと家庭用エアコンを比較!
まず『壁掛け形』を説明する前に、『業務用エアコン』と『家庭用エアコン』の違いを大まかに上げるとしたら下記内容があります。
業務用エアコンと家庭用エアコンの違い
- 能力の違い
- 風量の違い
- 機能の違い
- 機種の違い
- 電源の種類の違い
- 耐久性の違い
- 工事方法の違い
等々、細かく説明するとこの他にもたくさんありますが、まずはイメージしやすいものから上げてみました。
それぞれどのように違うのかを下記表にまとめております。
家庭用エアコン | 業務用エアコン | |
---|---|---|
冷・暖房能力 | 約0.5馬力~3馬力 | 1.5馬力~12馬力 |
風量 | 中 | 大 |
機能 | 家庭向き | 業務向き |
機種(形) | 壁掛け形のみ | 天井埋込形から床置きまで様々 |
電源の種類 | 単相100V/単相200V | 単相200V/三相200V |
耐久性 | 中 | 強 |
工事方法 | 難易度低 | 難易度高 |
※コラムニスト調べによる
※業務用は店舗・オフィス用パッケージエアコンを比較
このように何となくのイメージですが、業務用エアコンの方が大きくて強い!というイメージですよね。そのイメージで正しいは正しいのですが、もう一つ踏み込んで一番迷ってしまう『壁掛け形』の話に戻してみましょう。
例えば、およそ14畳の場所に壁掛け形のエアコンを設置する場合は、2馬力(冷房能力で4.0kw程度)を選定することが多いのですが、『2馬力の壁掛け形エアコン』には『業務用』と『家庭用』の両方が存在し、どっちを選んだらいいの?と思ってしまいます。
「上の表で考えると強い風が欲しい時は業務用かなぁ、、」そう思っていただいてもあながち間違いではありません。
ただし、両者を比較して、設置場所に対して適切な機器を設置しなければ、こんなはずじゃなかった!となってしまうこともしばしばあります。
業務用エアコンと家庭用エアコン機能の違いは用途に合わせて
例えば、「ダンス教室」「クリーニング店」「美容院」などのエアコンを選ぶ際に、広さだけを基準にして、家庭用エアコンを設置してみたけど全く冷えなかった・・・という事例があります。原因は、熱量が多い環境(熱を発するものがあったり、人数が多いような環境)では、室内の熱負荷にエアコンが負けていることです。家庭用エアコンは、「リビングにおける日常生活の熱量」を計算して設計されているため、熱負荷の多い環境ではなかなか効かない場合があります。
逆のケースでは、「商業施設の仮眠室」や「家庭の広い部屋」に『業務用エアコン』を設置した場合、音がうるさく眠れない・・・といったことが起こります。業務用エアコンは風量が強い分、音も家庭用エアコンのように静かではありません。家庭用は寝室でも使用できるように静かに設計されています。となると例え商業施設だったとしてもこのような用途の場合は家庭用エアコンを選択する方がよいということになります。(壁掛けの場合)
このようにいろいろなケースが考えられますが、エアコンを選定する際に一番大切なことは「設置したい場所の目的に対し、機能の違いを正しく理解して、設置する機種を選ぶ」ということです。
選び方については、次のコラムに「業務用エアコンと家庭用エアコンの選び方」を掲載しますので、参考にしていてだければと思います。
業務用エアコンと家庭用エアコンの違いを簡単にご説明しました。掘り下げればいくらでもかけてしまうテーマですが、今回は概要をお伝えいたしました。
奥深いエアコンの世界。業務用エアコンと家庭用エアコン、どちらがいいのかお悩みの方は、やはり専門業者の知識と経験値から現場を判断してもらい、その場にあったエアコンを提案してもらうことが一番良い方法であると筆者は考えます。