エアコンにも使用されているR32冷媒について解説します!

R32冷媒とは、フロンガスの1種類です。
昨今、エアコンに使用される冷媒がR32に切り替わっていっています。今回はR32冷媒の特徴やほかの冷媒との比較など、詳しくみていきます。
冷媒とは
冷媒とは、エアコンや冷蔵庫などに使われており、気化熱と凝縮熱を利用した熱交換という役割を担います。
気化で熱を奪い、凝縮で熱を放出するという働きで空間の温度を冷やす、暖めるを実現します。
エアコンに使用されている冷媒はフロンガスを用いることが多く、フロンには大きく分けてクロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)などがありますが、すでに廃止しているものや廃止が決定しているものもあります。
エアコンで多く使用されていたHFCのR410A冷媒は、徐々に廃止とされていくため、その代替フロンとしてR32の使用が推進されています。
冷媒(フロン)の変遷
特定フロンのCFC・HCFCは、オゾン層破壊係数が高めでかつ地球温暖化を引き起こす温室ガスであり環境に負荷をかける冷媒です。”国際的にこれらのガスを規制する動きが進み、1989年にモントリオール議定書が発効され、CFCとHCFの廃止が盛り込まれています。西暦2000年頃から空調機の冷媒はオゾン層破壊係数ゼロのHFC冷媒への代替を開始しました。
HFCへの転換の転換がすすみ、先進国では2020年までにHCFCは一部の例外を除いてほぼ全廃とされています。
HFCの冷媒R410A(HFC)がエアコンの冷媒として主流でしたが、地球温暖化係数がより低い新冷媒R32(HFC)への転換が進められています。しかし1997年「京都議定書」にて温室効果ガス削減目標が設定され、HFCは削減するべきガスとされました。
HFCもCFC・HCFC同様温室効果の高いフロンガスであるため恒久的に使える冷媒ではなくなる可能性があります。
冷媒R410Aと冷媒R32の違い
- 地球温暖化係数の違い
R32とR410AはどちらもHFCのフロンガスですが、R32の方が地球温暖化係数が低いことが特徴です。
オゾン破壊係数0、地球温暖化係数675で、R410A冷媒の1/3ほどです。またR32は効率がよいため冷媒充填量もR410Aの場合の30%削減が可能です。
R32への冷媒転換で、76%ほど環境への負荷が低減される計算になります。そのため、現在はR32冷媒利用が推進されています。


- 燃焼性の違い
国際規格ISO817:2024では、燃焼性を4つの区分に分けています。不燃性、微燃焼性、燃焼性、強燃焼性に分類されており、R32は微燃焼性に区分されています。万一燃焼したとしても、爆発燃焼は生じないという特性があります。R410Aは不燃性ですが、R32は微燃焼性のため冷媒封入量の多い機器などを設置する場合は安全対策が必要になる場合があります。
- 蒸発潜熱の違い
蒸発潜熱という働きで熱の移動をしますが、この蒸発潜熱がR410Aは273、R32は382であり、R32の方が効率がよい冷媒です。
- 混合ガスと単一ガスの違い
R410Aは混合ガスでR32とR125がある比率で混合しています。R32は単一ガスです。
R32冷媒のメリット、デメリット
メリット
- オゾン破壊係数が0。
- R410Aなどの冷媒に比べて地球温暖化係数が低い
- 毒性がなく安全性が高い
- 蒸発潜熱が大きいためコンパクト化が可能
- 熱伝導率がよく効率的
デメリット
- 微燃焼性があり、取り扱いに注意を要する
- 圧力が高いため、高耐圧使用による施工必要(R410Aと同等圧力)
- R410AなどのHFCのなかでは温室効果が低いが、二酸化炭素の675倍ほどである。
冷媒R32とは!
家庭用エアコンの主流として広く使用されており、現状では環境に優しい冷媒として、ビル用マルチエアコンなどの
大型エアコンにも使用が推進されています。
今後、さらに安全で地球にやさしい冷媒が開発されるまでは、R32が業務用空調機でも主流となってくる予定です。