同時運転の業務用エアコンとは?メリット・デメリットや個別運転との違いを解説

業務用エアコンを選んでいると、「同時運転」「同時運転マルチ」という言葉を目にすることがあります。
「室内機を複数台設置したいけれど、全部同時に動くの?」
「事務所と会議室に設置して、それぞれ別々に温度設定できる?」
このように疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
同時運転タイプは、1台の室外機に複数台の室内機を接続し、すべての室内機を同時に運転するタイプの業務用エアコンです。
広いワンフロアを効率よく空調したい場合には非常に便利ですが、部屋ごとにエアコンを使い分けたい場合には適していません。
この記事では、同時運転の業務用エアコンについて、仕組みや向いている施設、メーカーごとの呼び方、同時運転マルチの注意点まで分かりやすく解説します。
同時運転の業務用エアコンとは
同時運転の業務用エアコンとは、1台の室外機に対して複数台の室内機を接続し、1つのリモコンでまとめて運転するタイプです。
プルーラル機と呼んだりすることもあります。
一般的な業務用エアコンでは、室外機1台に対して室内機1台を接続する「ペア」が基本ですが、同時運転マルチでは室外機1台に2~4台程度の室内機を接続できます。
例えば、室内機を3台設置した場合でも、室外機は1台です。
イメージとしては、
室外機1台
↓
室内機3台
↓
1つのリモコンでまとめて運転
という仕組みです。
ダイキンでも、同時運転マルチシリーズは室外機1台に対して室内機2~4台を接続し、複数の室内機を同時に運転するシステムとして案内されています。
同時運転では室内機を個別に操作できない
同時運転タイプで最も重要なのが、室内機をそれぞれ別々に運転することはできないという点です。
例えば、室内機を2台設置した場合、
- 室内機A → 冷房運転
- 室内機B → 停止
という使い方は基本的にできません。
リモコンで運転を開始すると、接続されている室内機がまとめて運転します。
そのため、
「2台の室内機を同時に運転したい」
という場所には適していますが、
「部屋ごとに運転・停止したい」
という場所には適していません。
室内機ごとに個別運転したい場合は、個別運転マルチやビル用マルチエアコンなどを検討する必要があります。
同時運転の業務用エアコンが向いている施設
同時運転タイプが特におすすめなのは、間仕切りのない広い空間です。
例えば、広い事務所に室内機を1台だけ設置すると、部屋の場所によって温度ムラが発生することがあります。
そこで室内機を2~4台に分散して設置します。
例えば、
広い事務所
室内機① 室内機② 室内機③
というように複数台設置することで、室内全体に冷暖房を行き渡らせやすくなります。
また、室外機は1台で済むため、複数のペアエアコンを設置する場合と比べて、室外機の設置スペースを抑えられるというメリットもあります。
同時運転が向いている場所
| 施設・場所 | おすすめ度 | 理由 |
|---|---|---|
| 広い事務所 | ◎ | 1つの空間を均一に空調しやすい |
| 店舗 | ◎ | 店内全体をまとめて空調できる |
| 飲食店のホール | ◎ | 広い客席をまとめて空調できる |
| 体育館・広い作業スペース | 〇 | 空間全体の空調に向いている |
| パーティションのないフロア | ◎ | 温度設定を統一できる |
| 個室の多い事務所 | △ | 部屋ごとの個別運転ができない |
| 会議室が複数ある施設 | △ | 使用していない部屋も一緒に運転することになる |
| 店舗+事務所 | △ | 使用時間や設定温度が異なる場合は不向き |
同時運転の業務用エアコンの呼び方
同時運転タイプは、メーカーによって呼び方が異なります。
代表的な呼び方は以下の通りです。
| 比較項目 | 同時運転マルチ | 個別運転マルチ |
|---|---|---|
| 室内機 | 2~4台程度 | 2~4台程度 |
| 室外機 | 1台 | 1台 |
| 運転・停止 | まとめて操作 | 室内機ごとに操作 |
| 温度設定 | 基本的にまとめて設定 | 室内機ごとに設定可能 |
| 向いている場所 | 広いワンフロア | 個室・間仕切りのある空間 |
| メリット | 広い空間をまとめて空調できる | 必要な部屋だけ運転できる |
| 注意点 | 個別運転できない | 同時運転よりシステムが複雑になる場合がある |
つまり、「同じ空間をまとめて空調するなら同時運転」「部屋ごとに空調を分けるなら個別運転」と考えると分かりやすいでしょう。
同時運転の業務用エアコンの各メーカーの呼び方
同時運転タイプは、メーカーによって呼び方が異なります。
代表的な呼び方は以下の通りです。
| メーカー | 室内機1台 | 室内機2台 | 室内機3台 | 室内機4台 |
|---|---|---|---|---|
| 三菱重工 | シングル | ツイン | トリプル | Wツイン |
| ダイキン | ペア | ツイン同時マルチ | トリプル同時マルチ | ダブルツイン同時マルチ |
| 三菱電機 | シングル | 同時ツイン | 同時トリプル | 同時フォー |
| 日立 | シングル | 同時ツイン | 同時トリプル | 同時フォー |
| 日本キャリア | シングル | 同時ツイン | 同時トリプル | 同時ダブルツイン |
| パナソニック | シングル | 同時ツイン | 同時トリプル | 同時ダブルツイン |
メーカーによって名称は違いますが、基本的には、
2台=ツイン
3台=トリプル
4台=フォー・ダブルツインなど
と呼ばれます。
なお、実際の組み合わせや名称はシリーズ・機種によって異なる場合がありますので、選定時にはメーカーの仕様確認が必要です。
同時運転のラインナップは決められた組み合わせが基本
同時運転タイプには、メーカーがあらかじめ設定したセット品が用意されています。
例えば、
2.5馬力の室内機 × 2台
+
5馬力の室外機 × 1台
という組み合わせです。
この場合、2台の室内機を同じ容量・同じタイプで組み合わせるのが基本です。
一方、
2馬力の天井カセット形
+
3馬力の天吊形
+
5馬力の室外機
というような、異なる形状・異なる容量の組み合わせは、標準的なセット品として設定されていない場合があります。
そのため、
「室内機を2台付ければ、どんな組み合わせでもいい」
というわけではありません。
異なる室内機を組み合わせる「同時運転マルチ」
メーカーによっては、標準セットとは異なる室内機を組み合わせて使用できる「同時運転マルチ」のシステムも用意されています。
ただし、メーカーによって組み合わせ可能な室内機の種類や容量、接続条件が大きく異なります。
代表的な例をまとめると以下のようになります。
| メーカー | システム名 | 異機種 | 異容量 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 三菱重工 | 同時発停マルチ Multi V | 〇 | 〇 | 対応できる室内機形状に条件あり |
| ダイキン | 同時運転マルチ | 〇 | × | 組み合わせ条件を要確認 |
| 三菱電機 | フリーコンポマルチ | 〇 | × | 組み合わせ条件を要確認 |
| 日立 | ― | ― | ― | 別ラインナップで対応 |
| 日本キャリア | 同時運転システム | 〇 | × | 対応する室内機形状に条件あり |
| パナソニック | ― | ― | ― | 別ラインナップで対応 |
※上記は代表的な考え方を整理したもので、実際の対応可否は機種・シリーズ・容量・組み合わせによって異なります。
特に「異機種」「異容量」の組み合わせは、カタログ上で組み合わせ可能かを確認する必要があります。
同時運転マルチを選ぶときの注意点
同時運転マルチは便利なシステムですが、室内機を自由に組み合わせられるわけではありません。
メーカーによって、
- 接続できる室内機の種類
- 接続できる容量
- 室内機の台数
- 室内機の組み合わせ
- 冷媒配管の条件
- 電源方式
- リモコンの仕様
などが異なります。
そのため、「室内機が2台必要だから、とりあえず同時ツインにする」という選び方はおすすめできません。
設置する場所や使用方法を確認したうえで、対応する組み合わせを選ぶ必要があります。
同時運転と個別運転、どちらを選べばいい?
迷ったときは、まず「室内機を別々に使う必要があるか」を考えてみましょう。
同時運転がおすすめ
- 広いワンフロア
- 店舗
- 飲食店のホール
- 広い事務所
- パーティションがない空間
- 全室内機を同時に運転したい
このような場所では、同時運転タイプが適しています。
個別運転がおすすめ
- 個室が複数ある
- 会議室がある
- パーティションで区切られている
- 部屋ごとに使用時間が違う
- 部屋ごとに温度を変えたい
- 使用していない部屋のエアコンを停止したい
このような場合は、個別運転マルチのほうが使いやすいでしょう。
同時運転の業務用エアコンとは? まとめ
同時運転の業務用エアコンは、1台の室外機に複数台の室内機を接続し、まとめて運転するタイプです。
広いワンフロアに複数台の室内機を設置することで、温度ムラを抑えながら効率よく空調できるのが大きなメリットです。
一方で、室内機ごとに運転・停止したり、温度を変えたりすることはできません。
そのため、
「1つの空間を複数台の室内機で空調したい」
→ 同時運転
「複数の部屋をそれぞれ別々に空調したい」
→ 個別運転
と考えると、エアコン選びで失敗しにくくなります。
また、同時運転マルチにはメーカーごとにさまざまな組み合わせ条件があります。
「この室内機とこの室外機を組み合わせたい」
「既設の室内機をそのまま使いたい」
「事務所と会議室を別々に運転したい」
など、具体的なご希望がある場合は、機種選定の段階で確認することが大切です。
エアコンフロンティアでは、設置するお部屋の広さや用途、室内機の台数などを確認し、同時運転・個別運転のどちらが適しているかも含めて業務用エアコンをご提案しています。
業務用エアコンの選び方でお困りの場合は、お気軽にご相談ください。
















